INTRODUCTION
――運命すら届かない、その先へ。
存在に刻まれた「花言葉」が、精霊と守り人の性質を司る世界――。
北の果ての静かな森、苔むした神殿の階段で、
孤独な薬草売りの少女ティエラ(テラ)が拾い上げたのは、一粒の小さなどんぐりだった。
その夜。
家へと持ち帰ったどんぐりから淡い光と共に現れたのは、
白銀の髪とエメラルドの瞳を持つ、手のひらサイズのどんぐりの精霊、リーフ。
「君に会うために、どんぐりを落としたの。拾ってくれて、ありがとう」
その一言から、寂しさを纏っていた日々が、ゆっくりと温もりを帯び始める――。
二人の運命を分かちがたく結んだのは、一滴の血に託された「血の契約」。
精霊がもたらした力――それは、病をも癒やし、老いすら止める「不老不死」という名の宿命。
15歳の姿のまま時を止めてしまった彼女は、やがて人目を忍ぶ終わりのない旅へと踏み出す。
けれど、傍らにはいつも彼がいた。
テラが誰の目も気にせず、心から笑って「定住」できる安息の地を見つけ出すために。
争いも暴力も存在しない柔らかな世界で綴られるのは、ただ一人を想い抜く、切実なまでの愛。
未完成だった精霊リーフが「人の愛」を知り、大切な人を守るための真の姿へと覚醒してゆく軌跡。
全165話、58万文字。
一粒のどんぐりから始まり、果てなき時間を編み上げた精神の成長と永遠への深淵が、今ここに紐解かれる。
物語が閉じるその場所で、あなたが辿り着くのは――
優しく繰り返される「夢の記憶」か、
それとも、
光の中へ歩み出す「明日の未来」か。