【本編03 冒険編】「旅客馬車」
大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊
#本編03 冒険編
ブライトウッド・トレイル、2日目の朝は雨模様で、今日は肌寒い一日になりそうです。
「薬屋さんも近くにあるみたいでよかったよね^^」
「そうだね^^ 雨も強くなくてよかった」
宿主から教えてもらった、宿からほど近い薬屋さんに入り、テラは店主に訊ねました。
「おはようございます、こちらでは薬草の買い取りをしていますか?」
「いらっしゃい。旅の人かい?新鮮な薬草なら買取できるよ^^」
「はい、この薬草なのですが、どうですか?」
テラは、事前にどんぐりから出しておいた薬草1把を店主に見てもらいました。
リーフのどんぐりの中は鮮度が保たれるので、薬草は常に摘みたての新鮮な状態です。
「これはかなり質がいいね!これだけ新鮮ならぜひ買い取らせてもらうよ。どれくらい持ってるんだい?」
「あ、もうちょっとあるので、すみません。ちょっと待っててください」
テラは一旦店の外に出て、リーフと話します。
「私のバッグの中にいつも使ってる薬草を入れる麻袋があるの。
4把~5把くらい入るけど、どんぐりの中にどれくらい薬草あったかな」
「どんぐりの中には、今は20把くらいあるよ」
「じゃあ…あと3把出せるかな。難しい?」
守り人以外には見えないリーフが持っている物を直接受け取ると、テラが持った瞬間に見えるようになるため、傍から見れば”テラの手に突然現れた!”となって、まるで手品のようになってしまうのをテラは心配します。
「大丈夫だよ^^ テラは麻袋をバッグから出して、麻袋を開いて、中に手を入れてて。」
リーフはどんぐりの中に消えて、薬草3把を持って大きな姿で現れました。
そして、3把の薬草をテラが持っている麻袋の中に入れました。
「これでどう?手品にはならなかったと思うんだけど 笑」
「うん、自然だったと思う 笑 ありがとう、リーフ^^」
店内に戻ったテラは、4把の薬草すべてを申し分ない価格で買い取ってもらい、旅の資金補充は順調そのもので、大満足の結果となりました。
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ふたりはしとしとと弱い秋の雨の降る中、旅客馬車の停留所へ向かいます。
今日の旅客馬車は大型の15人乗りで、テラを含めて10人が乗り合わせるようです。
ブライトウッド・トレイル2日目、次の町まで約100kmほどの旅客馬車の旅の再開です。
休憩場所の建物の影で、テラがリーフに小声で話しかけます。
「ブライトウッドを出てから、フォークスエンドまでが長いね……」
「そうだね、まだノーサンロードには入ってないもの 笑」
「旅客馬車は長距離進めるけど……ノーサンロードに入ったらしばらく徒歩にしよっか」
「ぼくはいいけど、テラはいいの?」
「うん、馬車だとリーフと話しにくいし、休憩場所でもこうやって隠れるように話さないといけないでしょ。
それに急いでる旅でもないじゃない?
ふたりで薬草採取しながら、景色を見ながら、お話しながら、ゆっくり歩いて行きたくて。
それで、気が向いたら馬車に乗ればいいかなって」
「ぼくはそっちのほうが楽しそうで嬉しいよ^^」
「ね!そうしよう^^
ちょっと気分が滅入ってたけど、なんだか元気が出て来たわ^^」
ブライトウッド・トレイル2泊目の町に到着し、翌日の馬車の予約も済ませ、宿を探します。
明日はようやく、ブライトウッド・トレイルとノーサンロードの分岐点になっている町、フォークスエンド。
旅客馬車での旅は、馬車に慣れていないのと、リーフと会話があまり出来ないのもあって
テラにはちょっぴり辛かったようです。