【本編16~18 日常編】「旅の目的」
大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊
#本編16 日常編
翌日、いつもどおりふたりで薬草採取に出かけましたが、2人とも気になることがあってソワソワしています。
「ねえ、リーフ」「ねえ、テラ」
「あ、リーフ先にどうぞ笑」
「あ、うん。ごめんね。
…あの、昨日、抱擁してくれたでしょ」
「そうだね^^」
「ぼく”ぎゅっ”とされたの初めてで!」
「そうよね。小さいとできないもの笑
ごめんね、ビックリさせて。
なんだか抱きしめたくなったから、成長してみて!なんてお願いしちゃった笑」
昨夜の抱擁体験は衝撃でしたが、それをとても心地よく感じたリーフは少し気恥ずかしそうにテラに訊ねます。
「それで、あの、昨日の姿になったら…また、してくれる?」
「もちろんだよ^^」
「ほんとに?うれしい…テラ、ありがと…」
この日から、リーフの日課に時々の抱擁が加わりました。
テラのほうはというと・・
(リーフは色々すごいけど、人に対しての経験は小さな子どもと変わらないみたいね。
ここはテラ”お母さん”が色々経験させてあげないと!)
と、責任感のようなものを抱いたのでした。
#本編17 日常編
「私のほうもいい?」
「うん、テラはなあに?」
「私って不老でしょう?そしたら、ここにずっとは居られないと思って」
「3年。ライルとは3年でこの村を離れようって約束してたの」
「そうなんだ…3年…。
でも3年くらいだよね。それ以上だと怪しまれそう…」
「離れたくない?」
「ううん、大丈夫。
ねえ、一緒に旅をしよっか^^
そういうのもアリかなって、昨日の夜から考えてたの」
不老不死になったことで、同じ場所にずっと居られないと考えたテラは、旅に出ることを提案しました。
「ぼくと永遠に旅する?」
「あはは。100年くらい経てばここに戻ってきてもいいし。
でも、定住できる場所があればね…それがいいとは思うけど…難しそうよね」
「じゃあ、定住の地を探す旅ってのはどうかな!」
「定住の地を探す旅…それもいいわね^^ 目的は必要だもの! これで決まりね^^」
定住できる場所、難しそうだな…と思うテラでしたが、ふたりは”定住の地を探す”という目的をもって、旅に出ることを決めたのでした。
#本編18 日常編
その日の夜、テラはリーフにもうひとつ提案をしました。
「薬草の本に載ってたんだけど、この辺りでは珍しい薬草があって、南のほうにしか無いらしいの。
すごく気になるのよ」
「なんて薬草なの?」
「ムーンピーチ・フラワー。
効能はとても癒される効果があって、お茶にするととても香りがよくって、すっごく美味しいって!」
「聞いたことあるよ!確か、ずーっと南の方・・ノルデン、ブライトウッドからだとかなり遠いね」
「でもいいじゃない?時間はたっぷりあるし!
まずは、南のサウディア地方へ行くってどう?」
「いいと思う^^ 南国サウディア!アルダス大陸縦断の旅だね!」
「うん、決まりね!アルダス大陸縦断の旅!北部では見られない、南部の薬草。とても楽しみよ^^」
「ここで3年過ごしてから旅に出る?」
「ううん。旅に出るって決めたんだもの。
そうね…..1か月、1か月後を目途に出発しよっか。冬が来る前に、ね^^」
「旅の準備、ぼくも手伝うよ!」
「うん、ありがとうリーフ^^ 明日からがんばらなくっちゃ!」
こうしてリーフとテラは、1か月後を目途に南部サウディア地方へ向けて出発することにしました。
テラが住む北部ノルデン地方のブライトウッドから南部サウディア地方まで、現代日本でいうとちょうど札幌から那覇までほどの距離、約2,200kmになります。
リーフは、ライルとの果たせなかった約束を思い返していました。