【本編11~13 日常編】「過去の守り人2」
大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊
#本編11 日常編
「……え、、じゃあ私も、、不老不死になったの?」
「怒った?……先に言わなくてほんとにごめんね…」
「で、でも、ライルさんは亡くなったのよね?どうして?」
「それには理由があって、、ぼくのせいなの。
ぼくの力がまだ弱くて、一時的に守護が効かなくなって…助けられなかった…
ぼくのせいで、ライルは死んだの」
「………」
テラは返す言葉が見つかりません。
「……悲しくて情けなくて、今まで神殿ごと隠して、ずっと引き籠ってた…」
リーフは、ライルを失ってから、誓ったはずの”永遠の愛”と”絆”が断ち切れてしまったことに耐えきれず、800年もの間、神殿ごとお隠れになっていたのです。
「…リーフ…800年も……そんなに…」
「今度は死なせない、絶対に。今度こそ、永遠に…っ」
リーフにはそれ以上の言葉が出てきませんでした。
#本編12 日常編
テラが、リーフが紡げなかった言葉の続きを紡ぎます。
「永遠に………私を守って一緒にいたい?
ほんとはライルさんを守って永遠に一緒にいたかったのよね?
私、知ってるの。どんぐりの花言葉。
「永遠の愛」と「もてなし」でしょう?
花言葉は、その性質を象徴する言葉だもの」
(テラは…ぼくの性質に気付いてたの…)
テラの言葉に、リーフは今まで800年間ずっと抑えてきたものが溢れそうになります。
リーフの緑色の瞳が潤んでキラキラと光っています。
「どんぐりの精霊さんは寂しがり屋さんなのね^^
ねえ、リーフ。リーフって私くらいの背丈になれたりする?」
「…?……たぶん…テラと同じくらいなら…」
「お願い!ちょっとだけでいいから、今成長してみせてくれる?」
テラは、小さなリーフがとても深く傷付いていて、800年経ってもまだその傷が癒えておらず、リーフの心は今もずっと泣いている、と感じました。
そんなリーフを、心から、抱きしめたいと思ったのです。
リーフはぼんやりと体全体から光を発しながら、小さな手のひらサイズから、テラと同じくらいの背丈に変化しました。
「!?」
テラは、リーフの背中から少しだけ強く、包み込むように優しく、抱きしめました。
#本編12 日常編
「リーフ、いままで悲しくて辛かったのね。
与えてばかりのあなたが辛い時は、私が抱きしめるよ。
でも、私が不老不死になったことは、早く言ってほしかったな 笑」
「ほんとにごめんなさい…」
「いいよ、もう。リーフとずっと一緒にいられるんでしょう?
これから何年も、何百年も。永遠に」
「うん…血の契約は、ぼくにとって永遠の愛と絆を誓うものなの…」
震える声でそう言ったリーフの緑色の目から、大粒の涙がポロポロと零れています。
「そう、ありがとう、リーフ。大好きよ。
たくさん泣いていいからね。たくさん泣いた後は、また笑ってね^^」
テラはそう言って、にっこりと微笑みます。
「テラ、テラの血の匂いは、ライルと同じなの。
とても懐かしくて、とても悲しくて、とても大好きな匂い…」
リーフは、生まれて初めて抱きしめられて、生まれて初めて涙を流しました。
どんぐり精霊はその性質から、すべからく”もてなす”存在。
守り人であるテラは、この世界で唯一、リーフを”もてなす”存在なのです。