The Acorn Spirit’s Journey

tomisan.com

【本編04~05 冒険編】「フォークスエンド」

【本編04~05 冒険編】「フォークスエンド」

子ども向けの絵本あるいは大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊


 

#本編04 冒険編

ブライトウッド・トレイル、3日目の朝。

ノーサンロードの分岐点になっている町、フォークスエンドへ行く旅客馬車は人でいっぱいです。

旅客馬車は大型12人乗りが5台準備されていて、今日は5台連なっての旅になります。

 

テラは小声でリーフに話しかけます。

「フォークスエンドへ行く人ってすごく多いのね」

「ノルデン地方の中心の町、ブリズベールにも繋がってるからね」

「フォークスエンドはすごく栄えてるらしいから、ちょっと楽しみよ^^
それにしても…5台ってすごいね。昨日も一昨日も1台だけだったのに」

「今日は特に、独り言しないほうがいいね笑 人が多いもの」

「そ、そうよね…気を付けなきゃ……」

 

****************

 

夕方、日の暮れる頃、旅客馬車の一団はフォークスエンドに到着しました。

北部と南部をつなぐ大きな街道ノーサンロードは大陸を縦断するメインルートで、街道沿いには宿場町や村が点在し、旅人や商人が行き交っています。

リーフとテラは、フォークスエンドの市場近くの宿をとり、ここで2泊して今後の食料品などを調達します。

 

宿の部屋に入り、ようやく人目を気にせず会話が出来ます。

「明日は市場に行って食料を調達しよっか」

「うん。これから徒歩での旅だから、食料はたくさんあったほうがいいね」

「1日でどれくらい歩けるかな。20kmくらい行けるかしら」

「そうだね。長距離を歩くからあまり疲れすぎないように、ゆっくりがいいよね。馬車だと100kmを1日で移動できるけど、徒歩だと5日、かな」

「5日か……でも人目を気にしてると更に疲れるから 笑 宿が一番ホッとするもの」

「なんだかごめんね」

「私、馬車では”ひとりでブツブツ言ってる変な人”だったよね 笑
それでも、私がリーフとお話したいの。だからリーフは謝らなくていいのよ^^」

「はは。わかったよ^^」

「うん、明日は一日買い物をしてフォークスエンドの町を楽しもう!^^」

こうしてふたりは、長く感じたブライトウッド・トレイル約300kmの旅客馬車の旅を無事終えて、フォークスエンドでの3日目の夜を過ごすのでした。

 

地図

 

#本編05 冒険編

4日目、買い物日和の清々しい朝です。

フォークスエンドの市場は早朝から活気があって、多くの人が行き来しています。

 

「美味しそうな果物がいっぱい!」

「どんぐりに入れておくから、たくさん買っても大丈夫だよ^^」

「ほんとに、リーフには感謝してもしきれないわね^^」

*******************

「お、かわいいお嬢さん、果物、どうだい?」

元気のいい果物屋さんの店主が声をかけてきました。

「ええ、どれも美味しそうで。おすすめはありますか?」

「今の時期だと梨に柿にいちじく、りんご、桃、ラ・フランスが旬だね!とても甘くて瑞々しいよ、ほら、梨を一切れ食べてみて!」

「うわあ!ありがとうございます!いただきます^^」

新鮮で瑞々しい旬の梨はたいへん美味しく、とってもご機嫌なテラ。

「すっごく美味しい!梨、買います!あと、りんごと桃もください^^」

 

市場

 

さっそく果物を買ったふたりは、引き続き、大勢の人でにぎわう市場のお店を見て回ります。

「こっちにはスイーツがあるわ!甘いもの大好きなの^^」

「テラ、この栗の焼き菓子どう?」

「栗の焼き菓子!、ふふっ 食べるのがもったいない可愛さね^^ 私、栗好きなのよ^^」

栗の焼き菓子は、コロンと丸い栗型の型抜きになっていて、コロコロしていてとても可愛らしい焼き菓子でした。

 

あ。と何か思いついたように、テラは、肩に乗ったリーフのほうに顔を向け、小さな声で囁きました。

「私のそばにいるどんぐりさんはもっと可愛いし大好きよ^^(チュッ)」

「!?!?!?」

「すみません、こちらの栗の焼き菓子4個ください^^」

 

一瞬の事で何が起こったのか理解するのに少しの時間が必要でしたが、リーフは頬にキスをされたことに気付いて、初めてのことで混乱しました。

(あれ?キス…口づけ………って、なんだっけ…?)

(リーフの前で栗好きって言っちゃったからフォローしたつもりだけど…フォローになったかしら?)

 

この日市場では、果物、栗の焼き菓子、チーズ、ナッツ類、干し肉、パンなどの食料と防寒用の衣類を購入しましたが、もちろんすべてリーフのどんぐりの中に保管です。

日が傾き始めたころ、フォークスエンドの市場を満喫したふたりは宿へと戻ります。
ふたりの初めての市場巡りは、とても穏やかに時間が流れ楽しいひとときになりました。