The Acorn Spirit's Journey

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【本編06 冒険編】「リーフの力1」

【本編06 冒険編】「リーフの力1」

大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊


 

#本編06 冒険編

ふたりの旅は5日目の朝を迎え、今日はフォークスエンドの町を出て、いよいよ、大陸を縦断するノーサンロードを南へ歩いて進んでいきます。

「秋晴れの気持ちのいい朝だね^^」

「ええ^^ いよいよノーサンロードね!がんばらなくちゃ!」

ノーサンロードの街道沿いには村や町も多いのですが、そこから少し離れると周囲はもう自然の風景がいっぱいです。

黄色や赤色に色づいた木々、秋の野草や草花を眺め、秋を感じる景色の中を、ふたりは散歩をするように楽しみながら歩を進めるのです。

 

【本編06 冒険編】「リーフの力1」秋の風景

 

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フォークスエンドから10kmほど離れた辺り、小さな森を切り開いた街道の脇に、元気のない植物がありました。

「日当たりが良すぎて土が乾いて、しおれてるのね」

「サルナシ、…そうだね、日陰がなくなったのかな」

リーフはちょっと考え込んでから言いました。

「テラ、ちょっと待ってて」

そう言いながらリーフはテラの肩からふわりと地面に降り立ち、つぶやきます。

「リーフヴェイル」

リーフの足元から光の環が広がり、光は土に溶けていきました。

すると、しおしおになっていたサルナシは、みるみるうちに元気を取り戻し、緑色の葉がピンと張り、あっという間に果実を実らせたのです。

果実は淡い緑色で、ほんのりと甘い香りが漂います。

「すごい!リーフの力でこんなに元気になって、しかも、一気に成長して果実まで!」

「サルナシは乾燥に弱いから日当たりが良すぎて元気がなくなってたの。たぶん日陰になる木とかあったと思うんだけどね。
ぼくは本来、自然の生死には関与しないの。でも、人の手が入ってのことだと思うから。
だから、この周辺だけ集中的に力を使ったよ。
周囲の木や草も成長させたからここが日陰になる時間が増やせたかな。
安定のための持続期間も1年にしたし、地盤に影響が出ない範囲で水脈もちょっとだけ操作したから今後も大丈夫だと思う^^」

リーフは植物と力の説明をしましたが、テラはその力について詳しく聞きたいと思いました。

じつは、血の契約からひと月以上が経って、テラには気がかりなことがあったのです。

 

今まで聞いてなかったリーフの力のことを、テラは初めてリーフに訊ねます。

「力のこと、聞いていい?」