【本編17 冒険編】「リーフの光」
大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊
#本編17 冒険編
翌朝。
「おはよう、リーフ^^ 今朝はずいぶん冷え込むね。調子が悪いとか、ない?」
「おはよう、テラ。もう平気..」
昨夜、力が解放された勢いで抱きしめてしまって、リーフはなんとなく気まずくてテラの顔を見ることが出来ませんでした。
「そう、よかった^^ 昨日の夜は急にどうしたのかと思っちゃった」
「驚かせてごめんね…」
「ううん、私はいいのよ。それより!リーフの光って温かいのね!」
そう言ってテラはニコニコと微笑んでいます。
「え?」
「初めてリーフの光を触ったというか、リーフが私を抱きしめていたでしょう?
だから、リーフの光の中にいるみたいな感じになってたけど…リーフの光がなんだかふわっとしてて温かくて。
その光に触れてたら、ホッとするというか、安心感を覚えたっていうか」
リーフはまさかのテラの言葉に驚いて訊ねます。
「ほんとに?ぼくの光って温かいの?」
「ええそうよ^^」
リーフの光はどんぐり精霊の象徴である「もてなし」からくる寛容と慈しみの光です。
寛容と慈しみの光は優しく柔らかく温かで、それはリーフそのものなのです。
「ぼくの光…温かいんだ……」
「リーフの光は温かくてふわっとしてて、心地よくて^^」
テラの言葉を聞いて、リーフはもう一度テラを抱きしめて確かめたいと思い、ぼんやりと体全体から光を発しながらテラと同じくらいの背丈に変化しました。
「テラ、あの…いま、抱きしめて…いい?」
「うん、いいよ^^ 温めてくれるの?」
リーフは優しく包み込むようにテラを抱きしめました。
今度は意識して、力を緩やかにコントロールしながら解放します。
「私、冬は寒くて苦手なの。リーフはとっても温かいね」
「……」
リーフはテラの肩に顎を乗せて、うつむいていました。
その瞳は少し潤んでいて、今にも涙が零れそうです。
「ありがとう、リーフ^^ すっかり温まったわ」
リーフから離れたとき、テラは気付いてしまいました。
「リーフ、泣いてるの?え…わ、私?私なにかしちゃったかな」
「…嬉しくて」
「嬉しいの?」
「ぼくはいつもテラに抱きしめてもらって、温もりをもらってばかりで…
ぼくは冷たいから、ぼくがテラを抱きしめても温かくしてあげられないって…悲しくて」
「私のために悩んで悲しかったのね…気付かなくてごめんね。リーフはとっても優しくて、温かいよ?」
今度はテラがリーフを優しく包み込むように抱きしめます。
「ね?リーフはとても温かいわ^^」
「温かいのはテラのほう…」
冷え込む冬の朝、ふたりはお互いの温もりを重ねるように、ただじっと抱き合っていました。
(ぼくの光が温かいなんて…すごく嬉しい。寒い夜は、ぼくがテラを温めるから…)
温かくて優しい、心地よい静寂の時間が流れていきますが、しばしの静寂を破る声がしました。
「おーい!テラー!リーフ!起きてるかーーー!」
「はーい!起きてるよー!」
テントの外からファルがふたりを呼ぶ声がしたので、テラは返事をしつつ、リーフに微笑みながら言いました。
「ファルが呼んでるし、そろそろ準備しなきゃね^^ 温めてくれてありがとう、リーフ^^」
「うん。今日の夜も温めるから!」
「ふふっ ありがと^^」