【本編20 冒険編】「リーフとファル」
大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊
#本編20 冒険編
一方、リーフとファルのテントでは。
「リーフ!今朝はありがとうな!」
「うん、あれはテラだから…ごめん…眠くて」
「もう寝るのか?せっかく男同士の話ができると思ったのに」
「ほんと眠くて…」
今にも寝てしまいそうなリーフの気を引くために何かないか…と考えたファルは、”そうだ!”と閃きました。リーフの目が覚めるような、間違いなく興味があるであろう話をすることにしたのです。
「なあ、リーフ。女の子を喜ばせる方法、知ってるか?」
「え?女の子を喜ばせる方法?」
眠くて仕方ないリーフでしたが、ファルの話にちょっと興味が湧いて、ファルに聞き返しました。
「ああ、そうだ!俺は220年生きてるからな!なんでも知ってるぜ!テラを喜ばせたくないか?」
「220年?ファルはそんなに生きてるの?それで、テラが喜ぶ方法があるの?」
テラが喜ぶと聞いて、リーフは興味津々。ファルの思惑どおり、さっきまでの眠気はどこへやら。
「ああ。一番は、贈り物だな!女の子は贈り物されると喜ぶんだ!特に花は最初の贈り物としてピッタリだぞ!」
「お花!ぼくもテラからお花もらってすごく嬉しかった…」
「なんだ、テラからもらったのか?お返しは?したのか?」
「え、、お返し??何か返すの?…お返しって、なに?」
「ああ……」
リーフの思いもよらぬ返答に、ファルは頭を抱えて、どうしたものかと考えます。
「もうひとつ聞くけど、もしかして、そのリーフの青いペンダントってテラからもらったのか?テラの瞳の色だもんな」
「うん、これもテラがぼくにくれたの」
「もちろんお返しは…」
「……何も返してないけど…お返しって…」
ファルの残念そうな表情から、リーフは自分が至らないんだと理解し、シュンとしてしまいました。
ファルはそんなリーフの様子を見て、ニカッと笑います。
(ここは、押さないとだな!)
「花をもらって、ペンダントももらった。リーフは物を貰っただけじゃなくて、テラからその時の気持ちを貰っただろう?何の意味も無く、花を贈ったり、自分の瞳の色のペンダントを贈ったりしないはずだぞ。それを貰った時、リーフは何か感じたんじゃないのか?」
「とても嬉しかったよ。花には花言葉があって、すごくピッタリで、ぼくの宝物になったの。ペンダントもテラとお揃いでお互いの瞳の色が嬉しくて。テラはね、ぼくのこといつも考えてくれてて、とってもとっても優しくて、ぼくを抱きしめて温めてくれるの。ぼくはそれがすごく落ち着くから、ぼくもテラを温めたいって思ったんだけど……昨日まではテラを抱きしめられずにいたの…。でも、ぼくの光が温かいってのが分かったんだよ!これからはぼくがテラを温められるの!だから本当に嬉しくて!」
リーフが珍しく饒舌に話をするのでファルは少々驚きますが、テラの事を話すリーフの表情がとても嬉しそうで、少しはにかむ笑顔を微笑ましく感じました。
「なんだ。分かってるじゃないか」
「分かってる?なにを?」
「テラが温めてくれる、だからリーフも同じように温めたいって思ったんだろう?それがお返しだよ。今まで抱きしめられずにいたってのは、体温が無いからか?」
「これがお返し、、そっか…ファルはよく知ってるんだね。精霊が冷たいことも知ってるし」
「まあな。で、だ。リーフはテラのこと、本当に大好きなんだな!」
「好き?テラのことを?」
「そうだぞ。テラのこと、好きなんじゃないのか?俺から見れば、リーフはテラが大好きに見えるけどな^^ テラのために何かしたいって思えるってことは、それはもう”好き”だろう?」
「……」
リーフはしばらく考えてから、辿り着いた気持ちを言葉にします。
「うん。ぼく…テラが好きだよ。すごく、、好きだと思う…」
「すごく好きか!^^ じゃあ、お返ししなきゃな。好きな相手なら尚更だ^^まずは花を贈るといいんじゃないか?テラから花もペンダントも貰って、気持ちを貰っただろう?だから、ちゃんとお返しするんだ。受け身ばっかりじゃダメだぞ。気持ちを込めてしっかりアピールするんだ。君が好きだよ!ってな^^ 」
「気持ちをもらったら、ちゃんと返す…受け身ばっかりじゃだめ…
わ、わかった!!明日、テラに贈るお花を探すから、手伝って!!」
「おう!手伝うよ!任せとけ^^」
リーフがいつも言っている”血の匂いが大好き”は嗜好であり、リーフは嗜好的な”好き”しか知りませんでした。そもそもリーフは、人を含めた生物に対して、好意を寄せるなどと考えたことも無いのです。
リーフはどんぐり精霊であり、生まれ乍らにしてすべからく”もてなす”存在であり、守護する立場。
それが根幹である以上、守護すべき対象に対してもれなく使命のように愛(守護)を注ぎますが、それが好意という感情からくるものであるはずがなく、守護対象を好き嫌いで見ることなど、無いのです。
それはリーフが、自身の立場と力をよく理解しているからとも言えます。
ヘリックスの言っていた通り、リーフは”どんぐり精霊”という型にハマりすぎていたのかもしれません。
しかしリーフは、テラに対しての気持ちが”好き”であることに気付き、初めて嗜好ではない”好き”を認識したのです。
(ぼくはテラが好き。そっか。嬉しいな…ぼくはテラが大好き。
こんなにしっくりくる言葉があるなんて。どうして気付かなかったんだろう…)
テラに対する好意を自覚したことでリーフの霊核がほんのりと温かみを増し、テラを想えば想うほどに体の奥底から穏やかな気持ちと安堵感、安心感が広がります。
「ありがと、ファル…明日…いっしょ…zzzZZZ」
「あらら、寝たのか?仕方ないな笑 おやすみリーフ^^」
「ファル?起きてる?」
テントの外からテラの声が聞こえました。
「おう、起きてるよ。どうぞ、入っていいぞ」
「ごめんなさい、リーフ寝てるよね?」
「ああ、もう寝てるよ」
「リーフとお話できた?リーフは血を摂取したらすぐ寝ちゃうの。だから、話せたのかなって思っちゃって」
「いや、ついさっきまで起きてたよ。眠いって言ってたけどな 笑」
「そう、頑張って起きてたのね 笑 あ、私は日課の用事があって。リーフにおまじないをね」
「日課のおまじない?」
「私が子供の頃、寝る時に母さんがしてくれてたおまじないなの」
テラは寝ているリーフのそばにそっと座って、リーフの頭をなでながら「今日よりもっと幸せな明日が待ってるわ、おやすみなさい、リーフ」と穏やかな声で囁いて、おでこにキスをしました。
「ほんとに母さんみたいで、俺の母さんを思い出しちまった。それ、ずっとやってるのか?」
「リーフが初めて大きな姿になった日からだから……1か月半、もうすぐ2か月くらいになるかしら。リーフにはいつも幸せでいてほしいの。それじゃ、ファルもおやすみなさい^^」
日課のおまじないを済ませたテラは自分のテントに戻って行きました。
ファルはすやすやと寝ているリーフに話しかけました。
「リーフよぉ…テラは手強いぞ…親性脳に振り切ってる…」