【本編26 冒険編】「テラの好奇心」

大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊
#本編26 冒険編
テラ「私が寝ている間に、そんなことがあったのね」
リーフは、ファルとリモとヘリックスの契約について詳細な部分は省きつつ、おおまかな話の流れをテラに説明しました。
テラ「スターチスの精霊、花言葉から想像すると…リモはファルのことを忘れないし、ずっと変わらずにファルを愛しているのね。そしてファルもそんなリモを愛しているんだわ。ふたりは恋人って言ってたし、50年離れててもラブラブなのね!ずっと変わらずに愛し合うなんて、とってもステキだわ!羨ましい~!」
(詳細は省いたのに…テラは気付いちゃうんだもの。それに、羨ましい?羨ましいというのはどういう…)
テラのテンションの高さに理解が追い付かないリーフは、ヘリックスの守り人の話に切り替えます。
リーフ「えっと…ヘリックスが守り人を探すから、それは協力しようと思ってて」
テラ「精霊には守り人がわかるのよね?」
リーフ「うん。ちょっと離れてても匂いを感じるから、守り人がぼくに気付かなくても先にわかるよ」
テラ「わかったわ^^ そのときは教えてね。こっそり近づいちゃう?笑」
リーフ「ははは。守り人を驚かせちゃうよ笑」
テラ「そうだわ。ヘリックスの依り代はファルが持ってるのよね。依り代に入ってると外の音とか聞こえるの?」
リーフ「?意識して聞こうとしなければ、何も聞こえないよ。依り代の中は静寂で何も無いの」
テラ「そうなんだ、じゃあ、いいのかな」
リーフ「?」
一緒に旅をする仲間が増え、2人で始まった旅は5人の旅になり、山の風景は少しずつ冬の気配を強くしていきますが、5人は楽し気に南へと進んでいくのです。
テラ「風が冷たい…もう冬ね..寒っ…」
リーフ「テラ、どうかな?これで、温かい?」
リーフはテラを温かくしてあげようと小さい姿のまま力を少し開放しました。
テラ「ありがとう^^ そうだ、私の服の中に入れてもいいかな」
そういってテラは、小さな姿のリーフを胸元に入れました。
現代で言うところの使い捨てカイロのような扱いをされるリーフです。
テラ「ふふ^^ あったかいわ」
ファル「おお!リーフ、いいところに入ってるじゃないか!よかったな!柔らかくて気持ちいいだろ?」
テラ「なに言ってるの、ファル。リーフはそんなこと思わないのよ。変な事言わないで」
リーフ「……」
リーフは全く意識してなかったのに、ファルが教えてくれたため意識してしまいました。
(いいところに入ってる??たしかに…柔らかくて温かくて…肩に乗るよりこっちのほうがいい^^ 気付かせてくれてありがとう、ファル^^)
リモ「ごめんね、テラ…ファルはいつもこうなの。こんなところが好きなんだけど」
テラ「あ、うん…御馳走様です…」
ヘリックス「あなたたち、楽しそうね 笑」
野宿の場所を決め、いつものようにリーフのテントが作られますが、テントをいくつ作るかリーフは考えていました。
リーフ「ヘリックスはひとりでいいの?」
ヘリックス「私は依り代で寝るから、テントはいらないわ」
リーフ「そうか。依り代でも十分というか、ぼくたちは本来は依り代で寝るからね」
ヘリックス「そうよ笑 たいていは、精霊が自分の守り人を誇示するために守り人のそばにいて一緒に行動するけれど、守り人がいたとしても、精霊は依り代に入っててもいいわけで笑」
リーフ「それじゃ、テントはふたつでいいかな」
ヘリックス「ええ。それでいいわよ^^」
リーフの自然の緑のテントがふたつ作られ、壁も作り、テラとファルは食事の用意をします。
リーフもテラも、もちろんファルも手慣れたものです。
5人で火を囲んでいるとき、テラがどうしても気になっていたことをリモに訊ねました。
テラ「リモとファルの出会いが聞きたいわ!ファルとはどんな馴れ初めなの?」
リモ「ファルはとってもいい匂いがするの。精霊を幸せにする匂いっていうのかしら。だから色んな精霊がファルに契約を申し込んでたの」
ファル「俺は子供のころから親の仕事、行商人だったんだけど、そのおかげで各地を転々としてたんだ。そしたら行く先々で精霊が俺の所に現れてな。よくわかんねーから契約しなかったけど」
リモ「精霊の間ではファルは有名だったの。すっごくいい匂いがする各地を転々としているフリーの守り人がいるって」
テラ「ファルは精霊にモテモテだったのね。それでリモと契約したのは」
ファル「俺の一目ぼれだ」
テラ「わぁ!!一目ぼれだなんて!何人もの精霊が契約を申し込んだのに契約しなくて、リモに一目ぼれで契約だなんて!ファル、見直しちゃったわ」
ファル「なんだよ、見直したって!」
リモ「ファルは私とすぐに契約してくれたの…一目ぼれした!契約してくれ!って」
テラ「精霊によって契約方法は違うわよね。リモの契約方法ってどんななの?」
リーフ「!!」
ヘリックス「ふふっ」
ファル「こうするんだ」
ファルはリモを優しく抱き寄せ、愛おしそうにリモに口づけをして見せました。
リモ「説明したらいいじゃない」
ファル「見たほうが早いだろ」
(テラの心の声:きゃー!ファルったらすっごい優しく愛おしそうにキスするのね!!いつもふざけてるファルが素敵に見えたんだけど!私がドキドキしちゃった!)
テラ「契約はキスなのね!スターチスの花言葉、知ってるのよ。愛し合う契約なのだから、キスは当然よね!すごく素敵!!なんてロマンチックなの!!」
テラは目を輝かせて恋人同士のふたりを見ています。
テラはまだ15歳の女の子、恋人同士というワードがワクワクすぎて好奇心をかき立てられるのです。
ヘリックス「テラは女の子だからコイバナが好きなのよね^^」
テラ「コイバナ大好きよ!すっごく聞きたい!」
ヘリックス「それじゃ、今夜は女同士の話に花を咲かせる?」
リモ「楽しそう!私、そういうの憧れてたのよ」
テラ「ぜひ!!ふたりの話を聞かせて!」
ファル「ええぇぇ…」
リーフ「ええぇぇ…」
その日の夜は、女性陣のテントからキャーキャーと悲鳴のような楽しそうな声が夜遅くまで響いていたのでした。
一方、ファルとリーフの男性陣ふたりも、コイバナをしていたのは言うまでもありません。
リーフはかなり頑張って起きていてファルの話を興味津々で聞いていたのでした。