The Acorn Spirit's Journey

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【本編30 冒険編】「フォールゴールド4」

【本編30 冒険編】「フォールゴールド4」

大人も楽しめる絵本のイメージで物語を書いています。
よかったら読んでください😊


 

#本編30 冒険編

「そうなんだ……彼女は、精霊界に住んでるの?」

「イヴィは不老だからね。数十年おきに人間界に住んだり、精霊界に住んだりだね。守り人が精霊界に住むのは出来れば避けたいのだけど」

「守り人が精霊界に住むのは避けたいって、それはやっぱり…他の精霊がいっぱいいるから…」

「そう。無理矢理に契約を上書きしようと狙う精霊が居てもおかしくないから」

「…うん…」

「人間界には長く居られないから仕方ないんだ。かつては二人で旅をしたこともあったけど、今はここに落ち着いている。私が精霊界に居ないときは私の住処、この居宅から出ないよう暮らしてもらってるから、ちょっと不自由だけれど…」

精霊の契約は上書きが出来るため、他の精霊が守り人を奪うことが絶対に無いとはいえず、そのため、守り人は精霊界へ連れていかない、というのが精霊たち間では一般的なのです。

「ぼくは、ぼくの守り人のテラと一緒に、他の精霊と守り人も一緒なんだけど、森林地帯に住もうと思ってて。場所は、森林地帯の真ん中。あの場所にしたいと思ってるの」

リーフの言う”あの場所”とは、エルナス森林地帯の中心部にあるセイヨウトネリコの巨木がある場所であり、その根元には精霊界と人間界が唯一の繋がっている入口があります。普通の人間には認識出来ないよう精霊の力が働いているのです。

「それはいいね。森林地帯の真ん中に独りきりだとさすがに厳しいけど、何人かと一緒ってことなら…イヴィも一緒にどう?」

「もし可能だったら嬉しいわ。ジオとふたりきりも楽しいけど、精霊界は人にはちょっと不便だし、ずっと人間界で暮らせて、他の守り人さんたちが一緒にだったら安心よね。寂しくないのも嬉しいわ^^」

「ぼくたちは精霊と守り人が長く暮らせる村を作りたくて。だから住人が増えるのは大歓迎なんだ!」

「精霊と守り人が長く暮らせる村、とてもいいね。リーフたちの村が出来るのを楽しみにしてるよ。何か必要な事があれば手助けするから。よかったね、イヴィ」

「ありがとう、ジオ。リーフ、村が出来るのを楽しみにしてる^^」

 

「そうだ、、ジオ、ちょっと聞きたいことがあるのだけどいいかな」

「私が分かることなら何でも」

「オドントグロッサムという花なんだけど、ジオの町の近くで咲いているところはある?」

「オドントグロッサム…そうだね、確か…アウリス地方側の森林地帯の端の山岳にあると思うが…」

「アウリス地方側…やっぱり遠いところしかないか…」

「オドントグロッサムが欲しいの?」

「ぼくの守り人の誕生日が近くて、誕生花だから…」

「ああ、なるほど。君の大切な守り人に贈りたいんだね。そういうことなら、ちょっと待ってて」

そう言うとジオは光と共にすぅっと消えてしまいました。そして、5分ほど待っていると光と共にジオが現れました。

「お待たせ。これでどうかな?」

ジオの手にはオドントグロッサムの花が握られていました。

「あまり多くは咲いていなかったから、3本だけなんだけど」

「すごい!摘んできてくれたの!?すごく嬉しい、、ほんとにほんとに、ありがとう!」

「どういたしまして。しおれてしまうから早く依り代に仕舞っておいて」

「うん!ありがとう。嬉しい。。」

「私はね、代替わりはいつでもいいと思ってて。君にその時が来たら、すぐにでも代替わりしていいんだ。期限まであと約100年ほどあるけど、たった100年くらい誤差の範囲だからね。私が精霊王になって、もう2900年経っているんだから。君の準備ができたら、その時が来たら、いつでも。だから、待っているよ、リーフ。」

「うん、わかった。期待に応えられるか…あ、期待に応えたいと思うけれど、それがいつになるかは自分にも分からないけど。。色々教えてくれてありがとう。この世界で唯一のぼくの守り人、テラを、これからも大切にする。お花もすごく嬉しかった。ジオと会えて、話せてよかった。ほんとにありがとう」

「私のほうこそ、リーフと話せてよかったよ。それじゃ、そろそろ人間界に戻ろうか」

リーフは思い出していました。
初めて泣いた日の事を。テラが言った言葉を。
「与えてばかりのあなたが辛い時は、私が抱きしめるよ」
ぼくが”もてなす”存在であるなら、テラは擦り減ってしまうぼくを温かく包んでくれる、この世界で唯一ぼくを”もてなす”存在。

そんなテラに会いたくて会いたくて、いますぐ会いたくて。

宿に戻ったリーフとヘリックスは、テラとファル、リモの帰りを部屋で待っていましたが、テラの気配を近くに感じたリーフは居てもたってもいられず、宿の窓から飛び出してテラの所まで飛んでいきました。

テラの姿を確認したリーフは大きな姿に変化し、テラの目の前に降り立ったと思ったらそのままテラに抱きついて「テラ!お帰り!会いたかった!」と言ってギュッとしました。

「リーフ!どうしたの?何かあったの?」

「ううん、何もないよ。テラに早く会いたくて、飛んできた…」

「そう?何もないならいいんだけど」

「リーフはテラと離れて寂しかったんじゃないのか?」

「でも6時間くらいだし…」

「…早く会いたくて。たぶん、寂しかった…」

「そっか^^ ゆっくり買い物してたから…ごめんね、寂しい思いをさせちゃったのね」

テラはリーフの顔を覗き込みながらにっこりと微笑んで「今からふたりで散歩に行こっか^^」と提案し、リーフの手を握りました。

「じゃ、じゃあ、イチョウの木の広場に行きたい」

「ふふっ、イチョウの落葉がとても綺麗だったものね」

「俺はリモと宿に戻ってるから、リーフは公園デート楽しんでくるんだぞ^^」

リーフとテラは手を繋いで広場へ行き、テラがベンチに腰掛けると、リーフはテラの隣にぴったりと寄り添って座りました。

「ファルったら、公園デートって 笑 別にいいんだけど」

「テラと公園デート…」

「ふふっ^^ そうね。リーフと公園デートよ^^」

「嬉しいな…デートというのは、恋人同士がお散歩したりすることだってファルに聞いたから…」

「えええっ!」

「え?違うの?」

「違くはないけど…」(えええ…どうしよう、これ、否定していいの!?)

「けど?」

「違わないよ、うん(否定できない…)あ、でも、これから恋人になるかもってパターンもあるかしら」

(あれ?私、墓穴掘ってない?)

「そうなんだね^^ 嬉しいな…」

「そ、それにしても、すごくキレイね。ファル達と市場に行ってきたんだけど、行く途中の道もイチョウの木がいっぱいで、イチョウの紅葉がちょうど見ごろでとても綺麗だったのよ。そうそう、市場でね…」

テラは話題を変えなきゃ!と、買い物に行ったときのことをリーフに話します。
リーフは嬉しそうにニコニコと笑みをこぼし、テラの話を聞いているのでした。

そんなふたりを見守るように、広場のイチョウの大木は黄金色の葉を風に揺らしていました。

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どんぐり精霊と少女の冒険

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